小説

終わってさっぱり、読んでがっかり

教訓は身も蓋もない。誰かを通じて新しく別の誰かを知るのは、やっぱり楽しい(pleasure)。 理由は二つある。 (1)健全なほう:新しい考えかたや振る舞いかたに触れることそれ自体のよろこび (2)クィアなほう:新しい誰かを知ることによる、そのノード…

大人になる児童文学

夢みるピーターの七つの冒険作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,真野泰出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2001/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (6件) を見るバイトに向かう電車の中で読みました。 一人でいること、…

42

17h30、横浜。 友人の結婚披露宴二次会は今年2度目で、年内にあと二度ある予定。ようやく始まった第一次結婚ラッシュに自分の年齢を改めて数えては戦慄を覚えつつ、ワインでいよいよぼうっとしてくる頭で新郎である友人の決意表明を聞き流す。彼と彼のパー…

バートルビーと仲間たち

体調が悪く頭がまわらないので二ヶ月ほど前に読んだ本をぱらぱらとめくり返してみました。バートルビーと仲間たち作者: エンリーケ・ビラ=マタス,木村榮一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/02/27メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 52回この商品を含む…

マダム・モス(蛾夫人)

絹作者: アレッサンドロバリッコ,Alessandro Baricco,鈴木昭裕出版社/メーカー: 白水社発売日: 1997/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る日本では『海の上のピアニスト』で有名な、イタリア現代作家バリッコの出世作。ちなみ…

僕はどうやってバカになったか

僕はどうやってバカになったか作者: マルタンパージュ,Martin Page,大野朗子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2003/10メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る自分の不幸/疎外感/社会への適応できなさは自分の知性にあると考えた…

インドでわしも読んだ

(※写真はタイです。) 帰国してから、日本のエアコンにやられてすっかり風邪気味です。身も心も(すくなくとも肌の色と体臭は)インド人になってしまったようです。17h30@下北。お友達のタテイシさんに誘われ、ふらふらとお出かけ。週末の「とぶさかな」は…

Don DeLillo, _Falling Man_

Falling Man作者: Don DeLillo出版社/メーカー: Scribner発売日: 2007/05/15メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (5件) を見るベンヤミン、ボードリヤールといった言葉を使わずにデリーロを語ることは難しいが、「出来事」を表象不可能にするシステ…

ラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』

観光 (ハヤカワepiブック・プラネット)作者: ラッタウット・ラープチャルーンサップ,古屋美登里出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/02/21メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 86回この商品を含むブログ (47件) を見る05年デビューのタイ系アメリカ人*…

Stanley Elkin, _The Magic Kingdom_

The Magic Kingdom (American Literature (Dalkey Archive))作者: Stanley Elkin,Rick Moody出版社/メーカー: Dalkey Archive Pr発売日: 2000/10/01メディア: ペーパーバック クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る子供が死ぬのは悲しい。私達のい…

戦争にはちょっと反対さ

ぼくは、中身のない会話がすきだ。中身のない会話をしているときは、休日の神さまとうまくやれている気がします。休日の神さまは気合の入ったデートの時にはなかなか光臨してくれないくせに、何気ない平日の午後にふっとやってくる(気合の入ったデートなん…

小説の誕生

小説の誕生作者: 保坂和志出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/28メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (78件) を見るぼくにとって、保坂和志を読むことは翻訳をすることに似ている。いや、この人の日本語が読みにくいとかそういうこと…

Unweaving the Humanbeing

アキ。学園祭。 佐藤真監督「エドワード・サイード Out of Place」の上映会+講演会を見に行こうと思ったら、起きたらあれれの午後二時半。上映会は終わっているけれど、パネリストの話だけ聞きに行く。サバティカル(サバ!)の最中のはずが、この講演会の…

Unspoiled Monsters

叶えられた祈り (新潮文庫)作者: トルーマンカポーティ,Truman Capote,川本三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/07/28メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (48件) を見る「叶えられなかった祈りより、叶えられた祈りのうえによ…

Clap Your Hands

水星さんにもらった新宿MAPLIESのケーキを三つ(レアチーズケーキ、焼きチーズケーキ、抹茶のモンブラン)一気食いしたら胸がむかむかする。 city country cityで買った曽我部恵一のautumn mellow mix(著作権的には真っ黒なコピーCD)は今みたら半分以上持…

L'important C'est La Rose

18h30、下北、水星さん。みん亭の江戸っ子ラーメンは名前の割に驚くほど上品な美味しさ(麺の茹で方が上手いから、薄味のスープと実によく馴染む)。 フットサルシューズが欲しいという水星さんとasbeeで靴を見ていたら、学部一年からの友達の女の子にばった…

Light As A Balloon

夜、エイミーさんと長電話。痛い男の話でしばらく盛り上がった後、全然他人事じゃないと気づいてから笑いが引きつる。眠れない夜はブロッコリーを茹でる。オリーブオイルとローズマリー、キッチンテーブルで読む小説はなぜか入り込みやすい。テヘランでロリ…

I Find Elsewhere

19h0@新宿。Oさんと台湾料理。今年のノーベル文学賞は誰が取るのだろう、とか。因みに今ラドブロークス(イギリスのブックメーカ)のオッズはこんな感じらしい。 Orhan Pamuk 3/1 Adonis 4/1 Ryszard Kapuscinski 5/1 Joyce Carol Oates 6/1 Philip Roth 10/…

Take Care of Yourself

23h0@S Cafe。エスプレッソ。読書。時間がゆっくりと流れる。故郷 (岩波文庫)作者: パヴェーゼ,河島英昭出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/06/14メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (21件) を見るイタリアのWW2前くらい〜の「…

100 Ways To

J.M.クッツェーが来る(初来日)というので、微妙に熱っぽかったけど国際ベケットシンポジウムの公開講演に行く(今年は年始からバトラー、パワーズに続き憧れの人が沢山来て嬉しい)。普通の背広に白シャツ、深紅のネクタイといういでたちのクッツェー氏は…

Or All The Seas With,

どんがらがん (奇想コレクション)作者: アヴラム・デイヴィッドスン,殊能将之出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/10/26メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (126件) を見る 「警官が見つけて、持ち主が現れるまで保管しておく自転…

How to Pretend Not

16h30@cafe apres-midi。語学の授業をサボってお茶。夕方のapres-midiの窓(通りに面したほうじゃなくって隣のビルとの間にある細い窓)は水族館みたい。Yo La Tengo "I AM NOT AFRAID OF YOU AND I WILL BEAT YOUR ASS"購入。幸福。 ここ何日かで読んだ本…

Making Sense of Yourself

久しぶりに本屋探索@吉祥寺LIBRO。relaxが今月(来月?)で休刊らしい。どうも最近のマガジンハウスの方針はようわからん。ku:nelも今ひとつだし。ぶつぶつ。 急にビートな気分になりブローティガンやらケルアックを購入。高橋源ちゃんのブローティガンの解…

20060812

久しぶりの休日。部屋の掃除とレポートを済ませて、ジムで汗を流す。暑い。 夕食17h45@自宅。新鮮なサンマが手に入ったので三枚におろしてから軽く皮だけ炙ってタタキのようにしてたっぷりの生姜と長ネギと共にいただく。脂が乗っていて、しかも炙ってある…

20060811

11h40@chez Miya. ゴーヤチャンプルー、オクラの胡麻和え、トマトと玉葱の冷製スープ、冷麦。食べながら無性にビールが飲みたくなる。ウィルキンソンのジンジャーエールで代用。無闇に暑い。自転車でどこか遠くの国を走るか、さもなくばプールサイドでラム…

20060804

ペーパー完成。Plowing the Dark論を軸にしたRichard Powersのidentity論で四章構成(プラス序章と終章)。以下、多分殆どの人が興味ないだろうけれど備忘録。 一章でパワーズ作品における他者同士の「不可能な出会い」について指摘、二章でそれが主体構成の…

20060801

「強制された自由」浦江はいった。 意味が分からないだけに意味ありげだった。なんとなく暗そうではあった。しかし浦江のくちから出ると、ハワイ、も暗くきこえる。いったい、カレーを食べながらするはなしだろうか、と思ったら、 「大学の近くにカレー屋が…

20060629

「Waseda Bungaku」1号〜4号読破。豪華執筆陣のライトな読み物が殆どで、肩の力を抜いて読めるのはいい。けどもうちょっとオリジナルの小説が欲しいところ。連載作れとは言わないからさー。 Seize the Day (Penguin Classics)作者: Saul Bellow,Cynthia Oz…

最近読んだもの

14歳のX計画作者: ジムシェパード,Jim Shepard,小竹由美子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見るコロンバイン校における銃乱射事件をムーアは『ボウリング・フォー・コロンバイン』におい…

キョウコ・モリ『シズコズ ドーター』

長い間読みたくって読めなかった。一段落ついたので帰宅後一気に通読。 「著者キョウコ・モリは、1957年神戸に生まれる。 父親は鉄鋼会社の重役を務め、経済的に恵まれた家庭に育つ。 神戸女学院大学付属の中学に合格した直後の12歳のとき、最愛の母親…