インドでわしも読んだ
(※写真はタイです。)
帰国してから、日本のエアコンにやられてすっかり風邪気味です。身も心も(すくなくとも肌の色と体臭は)インド人になってしまったようです。
17h30@下北。お友達のタテイシさんに誘われ、ふらふらとお出かけ。週末の「とぶさかな」は、完全に外に解放されたテーブル席も、カウンターも、ほぼ満席状態である。なんとかカウンターに席を作ってもらう。生ぬるい夜風に吹かれつつ、黒ビールを片手にあじの酢締め、甘鯛の昆布締め、甘海老・帆立などの刺身に、鰈のから揚げなどを食す。店内は適度に騒がしいが、扉も窓もなく通りに開かれたこの店では、喧騒も夏の夜の空気に溶け込んでいくようだ。美味しくお酒を飲みました。
●インドに持っていって向こうで読んだ本(日記抜粋)
- 作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1993/10/01
- メディア: 新書
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数年ぶりの再読だけど、しみじみとポール・オースター・イン・インド。でもオースターと違って、都市で出会う人々のむわっとするような生活の匂いがするのが良いなあ。が、探していた人は結局自分でした、は、どうなんだろう。植民地は鏡ではない、と、ホミ・バーバに怒られそうだ。でも良かったです。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 文庫
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id:shokou5くんと最近春樹話をしたことがきっかけで、数年ぶりの再読。意外にも希望に満ちたラストだった。五反田君は愛すべきイケメン。同じく後期資本主義を扱った_American Psycho_だとBatemanになるんだけど、五反田君の方が70年代っぽいからかなあ。良かったです。
それと、最近読んだ内田樹の春樹本だとこの本から「文化的雪かき」ってフレーズを春樹の「絶対的な正しいものはないけれど、とりあえず小さないいこと(誠実な態度/良心的な姿勢)をしよう」というある種サリンジャー的な倫理のまとめにしていたけれど、「雪かき」のきりのなさ(=高度資本主義社会への埋め込み)は軽視できないものがあるなあと思いました。
The Water-Method Man (Ballantine Reader's Circle)
- 作者: John Irving
- 出版社/メーカー: Ballantine Books
- 発売日: 1997/06/23
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最後で示唆される循環的構造がどういう働きをしているのか、若干わからない。作中劇_Fucking Up_のくだりは、作品のどうしようもなさを踏まえてよくできていると思うけれど。
けど、ラスト・シーン、三組の夫婦と二人の子供(+一人の妻のお腹の中にもう一人)、二匹の犬の入った家自体が巨大な人間に見えるシーン、あそこはとてもよかったです。身体、ただ身体…。周囲のインド人旅客の目もはばからず泣いてしまいました。すごい。
●インドに持っていったけど読まなかった本
Another Country (Penguin Twentieth Century Classics S.)
- 作者: James Baldwin
- 出版社/メーカー: Penguin Books Ltd
- 発売日: 1990/06/07
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- 作者: ジャン=リュックナンシー,Jean‐Luc Nancy,澤田直
- 出版社/メーカー: 未来社
- 発売日: 2000/08/01
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- 作者: ガッサン・ハージ,保苅実,塩原良和
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2003/08/20
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●インドで買ってインドで読んだ本(日記抜粋)
Innocent Erendira and Other Stories (International Writers)
- 作者: Gabriel Garcia Marquez
- 出版社/メーカー: Penguin Books Ltd
- 発売日: 1996/02/29
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いやあ、ガルシア=マルケス、凄い。表題作のラストシーン、愛人に祖母を殺害させたエレンディラが、窓の外の夜にとび出して踊るように走り出していくシーンは、息を飲むほど美しかった。去年やってた舞台、見たかったなあ。
表題作を含め、全体的にフェミニズム寓話が多かったという印象。個人的には "The Sea of Lost Time " が、非常に良かった。何もない海辺の町で、ある時から海から漂う薔薇の匂い。俄かな栄華と没落。「世界で一番のお金持ち」と名乗る金貸しの来訪。すっかりSFしている。良かったです。
○Mahasweta Devi, _In the Name of My Mother_
5日、ヴァラナシの本屋にて90Rで購入。この本屋の店員はとてもインテリで、他にも色々インドの文学について語ってくれた。Spivakについて少し議論。
10日、台北の空港にて読了。土着封建制とインド・ナショナリズムの間で、二重に搾取される「母」の形象を描いた4編。"ma, from dusk to dawn" (夕闇から夜明けまでの母)では、カーストを抜け出て個人としてサバイブしようとした「母」が、その過程で聖性を背負わされたことで、「個人の母」としてでなく「国の母」としての死を引き受けさせられる。息子がどうしようもない馬鹿で、母の葬儀に「儀式に使うから」と高い金で米を売りつけられるんだけど、最後にはそれを盗んで、「これは僕が食べるんだ、これからは僕が僕を食べさせるんだ」といって走っていくのは、悲しいけれど良かった。
●インドで買った本(未読)
Mahasweta Devi, _Our Non-Veg Cow and Other Stories_
, _Old Women_
, _Bitter Soil_
, _Dewana Khoimala and the Holy Banyan Tree_
, _Till Death Do Us Part_
, _Outcast_
, _The Armenian Champa Tree_
and Usha Ganguli, _Rudali_
(以上、ヴァラナシの本屋にて)
Amy Tan, _The Opposite of Fate_ (Secondhand@デリー古書店)
Arundhati Roy, _The God of Small Things_ (Secondhand@ウダイプル古書店)
Chetan Bhgat, _Five Point Someone_ @デリーのデパート
最終的には計20冊くらいの本がバックパックの下に詰まっていたわけで、重いわけですね。旅行に行ったのか仕入れに行ったのか。これからゆっくり読んで、また書いていきます。