Escapism and Imagination

サボっていたつけが回って、いよいよ修論が修羅場ってしまいました。いやあ、はは、本当に我ながら情けないですがこれでもあと4日で24歳です。 気分転換に日本語を書こうと思ったものの、他に何とも触れ合っていないので例によって例の如くリチャード・パワ…

in or i、i nor i

そうそう、一番大事なことを書き忘れていた。その発言をした人物─彼は「ストレートの男しか欲望しない男性」なのですが─の名前が、「祈」(いのり)というのです。

Narcissism and Ethics

anodeさんの日記にコメントしようと思ったのだけど、長くなったのでこちらで(勝手に引用してごめんなさい。もし気に障ったら言って下さい、すぐ消します!)。 ※2006/01/07追記 以下のanodeさんのエクリチュールの誤配性についてのくだりと、その下の小説の…

誰かにとって特別だった君を

何年か前のクリスマスに、友人から「All is fair in love and war(恋と戦争においては全てが正当化される)」と書かれたもらったクリスマス・カードをもらったことがある。彼としては「お前もうちょっと頑張れよ!」的なつもりだったのだろうか(全く余計な…

If You Can Bounce High

彼 これらの言葉を読んで、僕はなんていうか本当に不謹慎だけどうらやましかったんだ、僕が死んだら誰かこんなことを書いてくれるだろうかって 彼女 私が書くよ。私は君の恋人でもソウルメイトでもないけれど、でもそうではない関係の大事な友達として、書く…

I wear your golden ring inside

友人にまるで十八歳みたいなメールを送る。酔っ払っていたので削除してくれ、とまるで情けない言い訳をすると、「送られたメールは私のものだ」とまるでデリダみたいなことを言われる。これだから文科系の連中は、と、思いつつ、自分や誰かが発した言葉がど…

左利きになりたかった

ここを読んでる友人と吉祥寺に行く。 16h0@くぐつ亭。とんとんと地下へ階段を下りていくと、怪しげな洞窟めいた店に(壁のプラスチックぶりが「カリブの海賊」的)。各々自分の本を読む「ひとり読書会(二人)」敢行。友人、レモンティ。僕、キンモクセイの…

20060418

真っ暗な研究室に一人でたたずんでいたはずの先輩が消失したり(いるかホテル?)、内定とは実は都市伝説じゃないかという問題が提起されたりと実にMurakamisqueな一日。だからというわけでもないけれど、ともあれ『ダンス・ダンス・ダンス』読了(再読)、…

ミシェル・オンフレ『〈反〉哲学教科書』

哲学教科書" title="哲学教科書" class="asin">大学院生にもなってこんな本をこっそりと読んでいる辺りが僕の哲学コンプレックスの現れな気もするのですが(哲学をやっている人と音楽をやっている人に対して強いコンプレックスを持っているのです)、ともあ…

2006031402

斉藤和義「君の顔が好きだ」を聞くと、なぜか下北沢にいるような感じと恋をしている気分が入り混じったようなやけに青い衝動に駆られる。あの町はすごく好きだからなんとなくもったいない気がして、下北でデートしたことなんて一度もなかったのにね。不思議…

20060311

今日はよく晴れていて気持ちいいですね。初夏を思い出します。僕の住む町では、早くも桜が咲き始めています。とは言えまだまだ三寒四温ならぬ三温四寒といったところですが。みなさん、いかがお過ごしですか? 今年最後の課題として、Sylvia Plath, _The Bel…

ワリス・フセイン『小さな恋のメロディ』2

前に言ったように、二人はある日授業をさぼって海へでかける。海岸のジェットコースターに乗り、綿菓子をかじりあい*1、バス停に並んで好きな授業の話をしたりする。まだ寒い海に飛び込んだ二人は、並んで砂の城を作り始める。砂山に穴を通しながらダニエル…

ワリス・フセイン『小さな恋のメロディ』1

1990年代もまだ長く残っていたその夏、僕は毎日彼女と一緒に下校していた。 家が近かった。小学校から数百メートル、僕の住むマンションの直前まで並んで歩いて、路地を右に折れる。 路地はちょっと目には気がつきにくい。郵便局の支店のようなことをやって…

★ウェス・アンダーソン『ライフ・アクアティック』3

航海の最後に悲劇が待ち構える。不運な飛行機事故で、ネッドが命を落としてしまうのだ(ちなみにその飛行機にはネッドとスティーヴが乗るのだが、彼らの搭乗の直前にクラフトがネッドと和解する)。 ネッドの葬儀で、スティーヴの出て行った妻の元夫(彼女が…

★ウェス・アンダーソン『ライフ・アクアティック』2

スティーヴが無精子病だという彼の元妻の告白は、必然的にネッドが彼の「本当の」息子ではないということを意味することとなる。かくしてネッドとスティーヴの関係は、血縁関係でもなく、育ての親子というものでもなくなることとなる。ではこのとき、二人の…

★ウェス・アンダーソン『ライフ・アクアティック』1

父と子、というテーマに惹かれだしたのは、この冬からのことだ。専門の小説家で論文を書いているうちに、「エディパルな敵意を捨てて、父を引き受ける=愛するようになるっていうのはどういうことなんだろう(そんなことは可能なんだろうか)」ということを…

ウディ・アレン『世界中がアイ・ラブ・ユー』2

簡単にあらすじを。 1996年と比較的新しいこの作品は、語り手(女の子)、その姉、双子の妹、弟、母、再婚した夫(語り手以外は皆この夫の子供)という大家族*1、そして語り手の父にして母の元夫(ウディ・アレン)それぞれの恋愛喜劇を巡るミュージカルとな…

★ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』4

絶望の中、ハンバートはロリータに自分の財産をすべて与えると、彼女のもとを去る。そうしてしまうと彼にはロリータを連れ出した男への復讐しかすることが残されていなかった。結局彼はその男を殺し、それによって投獄されることとなる。だが、そんなことは…

★ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』3

ある日、ハンバートがふと目を離している間にロリータが姿を消してしまったことがあった。ずっと恐れていた彼女の逃亡がついに実現したことを確信するハンバートだったが、奇妙なことにロリータは再び彼の前に姿を現した。 後年私は、彼女がなぜあの日永久に…

★ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』2

正確には、ハンバート(とロリータ)の第一の旅はここから始まる。彼らは一年間に亘って広くアメリカ各地を放浪し、安モーテルに泊まり、その度に愛し合う。ハンバートはロリータをわがままでなかなか言うことを聞かない存在だとみなすが、巧みな語り口によ…

★ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』1

ヘレンは帰ってきた。玄関の段の前に立ち、頭を垂れ、嵐から逃れるために。出て行った道をたどって戻ったのではなかった。あれだけのものを見た後で、どうしてそんなことができるだろう? 「ごめんなさい」と彼女は言った。「心をなくしちゃったの」 (リチ…

宮地尚子『トラウマの医療人類学』2

だが帰国後宮地は、友人のカナダ人医師からフィールド・ワークで出会ったソマリア人少女を養女にしたという話を聞くこととなる。『ウェルカム・トゥ・サラエボ』という映画化された本にも似たような話があったことを思い出した宮地は、子供たちを「救い出し…

宮地尚子『トラウマの医療人類学』1

二年前の夏、東南アジアでバックパック旅をしたことがある。二ヶ月弱の間、最初は三人、それから二人、最後には一人になって*1、タイ・カンボジア・ベトナムを遺跡中心にふらふらと回っていた。 旅に出る前から決めていたことがあった。物乞いをしてくる人に…