アーネスト・ヘミングウェイ『日はまた昇る』

日はまた昇る (新潮文庫)
というわけで今度はモダニズム。どうでもいいけれどなんでこんなタイトルなんでしょうか*1禁酒法時代、アメリカを去ってヨーロッパへ行った所謂「失われた世代」の男女の物語。
この小説の面白いところは、紹介する人が主人公(男)とブラッド(女)の関係を、「仲のいい友達」としか呼ばないところ。しかしどう読んでもすごくラブストーリー。「正しい男らしさ」を描くためには、どうしても対立項としての「どうしようもない女」を用意して、それに対して惚れているという構造が必要になってくる。で、それを割と本気で格好いいと思っている。舞台がパリだったりスペインだったりするけれど、基本的にとてもナショナルな小説です。アメリカ人とは、アメリカ性つまり「夢」とは、こういうものなのです。どーん。フィッツジェラルドの『ギャッツビー』以外の小説もこんな感じですね。
というわけで本質的には恋愛小説家のヘミングウェイですが、基本的には戦争小説で有名。この小説における「すでに失われている感」が第一次大戦によるものなのは言うまでもありません。でも、これって、他の戦争とどう違うんだろう。

*1:原題は_The Sun Also Rises_で『日もまた昇る』といったところ