現実のデザートへようこそ
考査に備えて修論の見直しを開始。我ながら酷いなこれ。
執筆中にひたすら聴いていた音源*1を友人に勧めたところ、「前にメルで教えられたよ」とのこと(しかも深夜、というか明け方に)。年はとりたくないなぁ、としみじみ思った24歳の冬。
Welcome to the Desert of the Real: Five Essays on September 11 and Related Dates
- 作者: Slavoj Zizek
- 出版社/メーカー: Verso
- 発売日: 2002/10/17
- メディア: ペーパーバック
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理論的には、そうしたリベラリズムが(ネグリ/ハートの言う「帝国」と共犯関係にあることから)「人間」(あるいは公的領域において認められた「主体」)の領域の内/外を峻別するアガンベン的生権力の話に繋がってくる第3章後半以降辺りからだんだんベタな話になってきてややトーンダウンするのが残念(というか、この種の議論としてはButlerのPrecarious Lifeがあまりに秀逸なのでそれと比べるとどうしても見劣りしてしまう)。なので個人的に優れていると思うのは第1章"Passions of the Real, Passions of Semblance"。「シミュラークル化して現実感を失った「終わりなき日常」(by宮台)において、我々は災害や事故などの日常的でないものに生の「リアル」さを求める」というベタな言説に対して、そこでの「リアル」は決して(我々の象徴秩序を解いてしまうような)現実界the Realではなく、むしろ快楽の対象なのだ、というくだりにはしみじみ納得。そう考えると80年代的なポストモダニズムとモダニズムの違いなんて本当にないんだよなあ。