池内恵『現代アラブの社会思想』

現代アラブの社会思想 (講談社現代新書)
新書(出版は2002年)。買いそびれていたのだが、下北で友人に連れられていったちょい悪宮沢賢治の店で購入。
アラブの社会思想の社会史的展望(イスラーム思想の目的論性や経済との関連など)を論じる前半は、よくまとめてあるな、という印象だったが、終末思想と現代の社会思想との関連を論じた後半(むしろこちらが本書の主題)はなかなか刺激的。終末思想そのものを宗教史的に追った後、それが今日のアラブ思想といかなる関連を持つかについて丁寧に論じていく。ホモセクシュアルの登場が終末の特徴だとの指摘には苦笑。四年も前の本だが未だ色あせていないのは、終末思想がアラブにおいて常に(これからも)アクチュアルな問題だからだろう。