20060809

 
朝から降り続く雨のシャワーのような激しさと熱気を「まるで夕立のようだ」と喩えてから何となくおかしくなった。「シャワーのような雨」は、雨はシャワーではないから比喩として問題ない。けれど夕立は雨(の部分集合)なので「夕立のような雨」というのはトートロジーじゃなかったら撞着語法みたいなもので、朝の雨は夕立ではない。そんなことはどうでもいい。夏の雨は好きだ。夏のよく晴れた暑い暑い日が好きだ。夏の朝が好きだ。夏の夕焼けが好きだ。それはいつでもなんだか無性にわくわくする。
昨日の東京は特に夕焼けが美しかったようだ。僕の親友の一人がそのことを日記に書き、別の親友は撮った写真をメールで送ってくれた。私たちは一つの町に生きている。
 
[今日読んだ本]

サーカスの犬

サーカスの犬

サーカスものの小説だが、「バルトラング」というサーカスのテントを設置する労働者の男達を中心に据えることでサーカスの「光と影」というよりはもっぱら「影」の部分が描かれるこの小説。作者リュドヴィック・ルーボディにとっての処女作で、色々賞もとっているみたい。
男達が一匹の犬に出会い、ひとつの夢を見始めるその物語は、「フェリーニの映画みたい」とか評されているけれど、無骨な男達のホモソーシャルとその「夢」の盛衰の儚い美しさは、確かに映画的。正直に言うと訳がいまいちな気もするし技術的にもテーマ的にも高得点は与えられないけれど、犬がかわいいからよし。