20040826


初任給が出たのでカルディコーヒーでバジルペーストとコーヒーフレーバー、そしてサンベネデットの炭酸水を購入。サンベネデットというのはイタリアで(多分)一番メジャーな飲料メーカーで、二年前の欧州チャリ放浪では本当にお世話になった。
馬鹿みたいに暑い日、慣れるまでは少し気持ち悪かったけれどいつしか病み付きになってしまったスパークリングウォーターを飲み干していたら、何だか懐かしくなってしまったので、当時の旅日記を読み返してみた。

Sirolo*1
 
教会通りの長い坂を上った先は細長い広場になっていて、海とその先に張り出した小高い丘のような岬が見渡すことが出来た。はずれのほうには季節だけのオープンカフェが店じまいを始めようとしている。午後六時はもう夕方だった。広場の中央の屋台は、ジェラート屋件バールだったのが、もう後者のほうがメインになっていたりして、みんなショールやジャケットを羽織り、一日の終わりに注文するのはビールではなくカフェやホット・カクテルだった。1.2ユーロを支払いコカコーラの紙コップになみなみと温かいカフェラテを注いでもらう。それでも、日が沈みきってしまうまでには、それとも僕が風の冷たさに耐えられなくなるまでにはまだだいぶあるはずで、それまでにはこの熱も奪われてしまうに違いなかった。人が集まり、写真を撮り、笑いながら立ち去っていく。誰か一人が欠けてしまうことがないように、家族連れにはなるべくカメラ係を買って出ることにしていた*2。時折、ファインダー越しの鰯雲が信じられなくて、ピントが合ってないような顔で空を仰いだ。やがて教会通りが次々に店じまいを始めると、みんなそれぞれ道端に停めた車へと戻っていった。家へ。あるいは握手を交わし、笑顔を交わし、キスを交わし、値切りながら最後の買い物をし、交換できるもの全てを交換して、それぞれの路地へと歩き出していく。鐘が鳴り、30分か45分か、そもそも何時なのかすらよくわからない時を告げる。

 
妙に気取ったところがあるのは当時はまっていたジャン・ルネ・ユグナン『荒れた海辺』の影響だと思われる。書いた当時は、決まった、と思わず呟いたかもしれないが、今となっては迷わず赤を入れたくなる。

*1:イタリア東海岸ヴェネツィアから南に400km位の小さな町

*2:ここでは格好つけてこう書いていたが、最大の理由はその際に何か食べ物をもらったりすることにあった