越智博美『カポーティ』

カポーティ―人と文学 (世界の作家)
最後の文学セレブ(?)、トルーマン・カポーティがいかにゲイでマザコンでナルシストであったかについての本(というのは半分くらい嘘です)。トルーマンの伝記的事実を追いつつ、書かれた本の(彼のホモセクシュアリティにやや重点を置きつつの)紹介、という感じ。フィッツジェラルドや(親交のあった)ウォーホルになぞらえられるけど、所謂ロマンティックな小説家像とここまでマッチしている人も珍しい。今日本ではなかなか入手困難な本についての話もあって興味深い(冷戦についての本を書いてたのは知らなかった)。「自分の属している場所がどこにもないと思い」、「穏やかで落ち着いた感覚を追求すること、自分が必要とし、求めてもいたある種の愛情を追求すること」という彼のテーマがいかに彼の実際の生(母との関係やセクシュアリティを含めて)に根ざしていたか。最期の時に「寒い、抱きしめて」「ママ」「ぼくだよ、バディだよ」と繰り返す彼の姿は悲しい。因みにこの本は去年発行されたもので、著者は今年からお世話になる先生。