20060220

小学生の頃、学校の図書館が嫌いだった。
もちろん本が嫌いだったわけではない。多分今の倍くらいは読んでいたと思う。けれど学校の図書館は、古くてぼろい(何だか臭い)本が山のようにあって、これ全部読むことなんて多分一生できない、と絶望しつつ、世の中にはなんて無駄にたくさんの本があるんだろうと呆れた。
その後湘南台にある市立図書館(ガラス張りで広々としている)に魅せられ(湘南台の話はいずれすると思う)、毎週のように通いつめた。半時間電車に乗って一日そこで過ごし、また翌週までの分十冊程借りて、帰った。けれどある平日小学校をサボってここに行った時、いつも人が行き交っている図書館は驚くほど閑散としていた。張り詰めたような空気に、本棚の迫ってくるような高さとそこに眠る本の膨大さに突然に気づいた僕は、何だか怖くなって逃げ出してしまった(それ以来ここには高校の頃までくることは無かった)。
逃げながら僕は思った、ここも同じだ、ここも小学校の図書館と同じで、死んだ本がたくさん眠っているんだ…。
当時の僕にとって、本屋さんで売っている本は「生きている」本だった。それに対して、図書館で眠っている本は基本的にもう「死んでいる」本で、僕達はまるでお参りをするようにそこに向かった。僕にとって、図書館は墓場だった。

(続く)