Out-In-Out

ようやく翻訳に取り掛かり、朝からぺちぺちと打ち込んでいます。遅々として進まず。
知人に言われたように、訳しながら打つのではなくて頭の中である程度訳文を作ってしまってから息を止めてえいっと打ち込むと、少しだけスピードが上がった気がします。

レヴィナス序説

レヴィナス序説

レヴィナス解説本としてはかなり分かりやすいし、議論もはしょらずに(中心的に論じる本を絞っているからだろうが)体系だててくれていて、かなり助かる。今訳してる本で言ってることはだいたい先取りしているような気も。
レヴィナスの仕事が(彼が批判的に体系化する西洋哲学が語ってこなかった)「死」の哲学であるとするならば、それってやっぱり彼のユダヤ性に根ざしているように思える。その意味で彼の哲学的な仕事と宗教的な仕事の関連を論じる4章は興味深かったし、ある意味で物足りなくもあった。ホロコーストを経験しつつそれを「迫害されるものは迫害者に対して責任を持つ」というresponsibility概念に結びつけた彼の仕事を否定するわけではないけれど、それが暴力的なシオニズムに還元されてしまう可能性は常に考慮に入れなければならないわけで、そうした責任を自己にのみ求めて他者に期待しないことって別種のナルシシズムにも思えるのだ(かといってそれを他者に期待すべきか、と言われたら僕だってごにょごにょとごまかすしかないけれど)。個人的にはユダヤ教一神教としての性質は、多神教的神々の神霊を否定するという意味においてほとんど無神論的だ、とのくだりが非常に興味深かった。

本全体としては、最初に書いたように著者はあの難解なレヴィナスの文章をかなり体系立ててまとめてくれていて、正直に助かる。ただし彼のポスト構造主義の位置づけの仕方にはやや疑問が残るし、デリダに対して辛すぎる気もする。晩年のデリダ、あるいはスピヴァクや最近のバトラーの仕事等ポスト構造主義(と言っていいのかな)による再評価を通じてレヴィナスを見ると、彼らの言ってることってデイヴィスがまとめるほど遠くはないように思えるのだけれど。
 
というか、どうでもいいけど昨日からブログの記事を書いていると恐ろしい頻度でFIREFOXが凍る。合計で二時間近く無駄にした気がする(今は諦めてIEで書いてます)。ミクシィも何だかログインできないし、どこに問題があるんだろう。誰か詳しい人いたら教えてください。