20060318

いきなりだけど、僕のアパートは東向きだ。だから物干し竿は南北方向に向くことになるんだけど、住んでいるのが四階で周りに何もないこともあって、ちょっとした風でも洗濯物がすぐあおられる。北風の吹く冬は、帰ってくるといつもハンガーが物干し竿の右側(つまり南側)に寄っていて、何だか悲しい。もっと風の強い日なんかはごく当たり前にハンガーごと飛んで行ったりして、何度下の部屋のベランダに引っかかって取らせてもらっただろう。
ある風の強い日、家に帰って窓の右側を開けてみると一つもハンガーがかかっていなかった。さては全て吹き飛んだか、と窓から顔をだすと、みんな仲良く左側(つまり、北側)に固まっていた。そうしてようやく僕は、ついに南風が吹き始めたことを知ったのだった。
 
朝、レンズ豆の煮物、ミネラルウォーター。スタバでエスプレッソを飲みつつ新聞を読み、目黒へ(久しぶり)。雅叙園なるホテルは予想通り超高級。けどスペースの使い方や造花の感じがあまり好みではない。喫茶室で珈琲を飲みつつ(普通の珈琲の値段がスタバの二倍強くらいした)、F.Scott Fitzgerald, _Tender is the Night_. p.142-172.同時並行で五冊くらい読んでいるのでなかなか読み終わらない。主人公を誘惑して失敗した純粋な少女が、彼の去った後鏡に向かって髪を三百回も梳くシーンはなかなか感動的(その後すぐ主人公は陥落するのですが)。
予定外に午前中だけで用事を終えて、ていうか午後はサボって、目黒散歩。大使館付近をふらついた後、「イタリアン・タイ料理屋トゥクトゥク」というイタリアンなのかタイ料理なのかよくわからない店で鉄鍋カレー。注文してから昨夜もパキスタン風カレーを食べたことを思い出すが、そんなことすぐに忘れてしまうくらい美味しい。スパイスの使い方がうまく、よく味わうと一つ一つのスパイスがそれぞれ生きていて各々バランスの取れた主張をしているのが分かる。豆腐が入っていたりして具も不思議な感じ。非常に幸せな気持ちで店を出るが、それでも「イタリアン・タイ料理」が何を意味していたのかは謎なままだった。
久しぶりに庭園美術館に立ち寄ってぼうっとした後、近くのカフェでダブル・エスプレッソを飲みつつRichard Powers, _The Goldbug Variations_. p.41-69.全く進まない。友人も書いていたがこの木曜にはお会いすることになるのに。序盤なのに主人公が図書館をやめるシーンで早くも涙ぐむ。気分転換のため斉藤和義を聴くと、また無性に下北に行きたくなった。今週はもうすることもないし(本読めよ)、友人を誘い渋谷経由で下北で飲むことに。
池内恵『現代アラブの社会思想』(読みそびれてた)と山室静『世界のシンデレラ物語』購入後、夕飯。ミント入りジントニック、栗ビール、カツオのたたき、豚肉の赤ワイン煮込み(栗ビールが美味)。友人と別れてからベトナム料理屋(兼飲み屋)にて、『シンデレラ』を読みつつ、牛肉のフォー、バー・バー・バー(フォーのスープが絶品)。人が増えてきたので久しぶりにmois cafe(民家を改築したところです)でアイリッシュ・クリーム入りカプチーノを飲みながらのんびりする。やっぱこの店の雰囲気は好きだ。一人で来るところじゃない気もするけど(というか下北でスーツ姿の僕は全般的に浮いていました)。
しんみりしてきたので、カルディコーヒーで缶の白ビール(今日本で手に入るのはこれだけ)を購入、飲みながら帰路へ。家に帰って、窓の左側に洗濯物が固まっていたら、たぶん嬉しいよりもさびしいほうが勝るだろうと思いながら。