Farewell Party For Summer

踏み切りを越えるとどこからか祭囃子が聞こえてくる。九月も残すところ一週間、川原近くの神社の辺りではもうとっくにいなくなってしまった夏を追い払うように御輿が出ていた。ふらふらと引き寄せられると、ビールと汗と焼き鳥の混ざった、けれどけっして夏らしくはない匂いが強くなる。河川敷近くの入り組んだ道に突然ヤンキーが増え始めると(じっさいこの町にこんなにヤンキーがいたとは知らなかった。今までどこにいたのだろう)、その向こうに二つの御輿がぶつかり合うのが見える。ハッピ二割ジャージ五割の老若男女は、ビールとおでんを手に中学生の打ち鳴らす太鼓を聞くともなしに聞いている。道の向こうでは、御輿やおでんから離れて、車両規制をいいことに子供たちが影ふみ鬼をしている。囃子声が遠ざかるにつれ、追うように影も長くなった。