2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

酒井邦嘉『心にいどむ認知脳科学』

以前友人の研究室から拝借してきた(こう書くと盗んだみたいだが許可は得ました)本。友人の先生で、話には聞いていたけれどざっと検索してみたところ若いけどかなり将来を嘱望されている人みたい。 認知記憶のボトムアップ型情報処理システムについて概観し…

20060425

有朋自遠方来、不亦楽乎。 僕も朋も未だ同じ大学に在籍しているので(ついに二人とも六年生です)遠方というほどでもないが、久しぶりに前から知っている友達に会うとほっとするし刺激を受ける。彼も頑張っている様子。一時過ぎまで焼酎を飲みながら馬鹿話。

池内恵『現代アラブの社会思想』

新書(出版は2002年)。買いそびれていたのだが、下北で友人に連れられていったちょい悪宮沢賢治の店で購入。 アラブの社会思想の社会史的展望(イスラーム思想の目的論性や経済との関連など)を論じる前半は、よくまとめてあるな、という印象だったが、終末…

ヘンリク・イプセン『人形の家』

厳密には小説ではなく戯曲。 夫に黙って借金をした(かつその過程で書名を偽造した)妻が夫に心優しく「許して」もらったとき、自分が彼にとって(あるいは自分の父にとって)「人形」でしかなかったことを悟り、家を出て自らの生を生きる、というのが基本プ…

F.Scott Fitzgerald, _Tender is the Night_

その頃に読んだものの途中でついていけなくなり投げ出した本。丸一ヶ月かけて読了。フィッツジェラルドの長編の中では一番文学らしい文学だろう。アメリカ性についてアメリカの外部(ヨーロッパ)から書く、あるいはアメリカン・ドリームについてその失墜後…

20060424

以前「自己実現」が一種の権力ではないか、という話を書いたが、先週のゼミで師匠が全く同じことを言っていて少しおかしかった。流石に十代から二十代の五年間、みっちりと接してきただけあって、影響を受けているのだろう。しみじみとおかしい。

ボブ・グリーン『オール・サマー・ロング』

初めて「アメリカ小説」だと意識して読んだアメリカ小説。40過ぎのオジサン三人組が、かつての友情と輝かしい夏の日々を取り戻すために、ひと夏の間一台の車で、妻や子や仕事全てを後にしてアメリカ中を旅するというお話。 逆玉により大会社の社長になった…

J.M.Coetzee, _Disgrace_

1999年のブッカー賞受賞作。南アフリカの大学の文学教授Davidが教え子とのスキャンダルによって大学を追われ、農業を営む娘Lucyのところへ転がり込み、Lucyのレイプ事件をきっかけに、世代、親子関係、男女、そしてクッツェーお得意の動物についての倫理の問…

20060422

友人からのメールで、La Folle Journeeが今年もあったことに気がつく。国際フォーラムで開かれているこのイベントは、普段クラシックに慣れ親しんでいない人に格安の値段で生の演奏を聴いてもらおうという趣旨のもので、日本では去年のGWに第一回が開かれ…

アーシュラ・K・ル=グウィン『空飛び猫』

ゴミ集積所で拾った本シリーズ。デリダに苦しんだ後、久しぶりに湯船に漬かりつつ読む。猫かわいい。

ジャック・デリダ『友愛のポリティックス』

Jacques Derrida, _Politiques de l'amite_, 1994の全訳(鵜飼・大西・松葉共訳)。一週間で上巻を読み、二ヶ月おいて二日で下巻を読み終わる。 「おおわが友たちよ、一人も友がいない」というアリストテレスの言葉を入り口に、ギリシア的フィリア(愛)→キ…

20060421

ゼミ後、久しぶりに何もない午後。風は冷たいが空は驚くほど青。思いっきり料理をしようと八百屋に向かったところ、先ほどまでゼミで一緒だった友人と遭遇。考えることは皆同じ。 鰹の叩きが安く手に入ったので、少し手を加えてカルパッチョに。それから天気…

20060418

真っ暗な研究室に一人でたたずんでいたはずの先輩が消失したり(いるかホテル?)、内定とは実は都市伝説じゃないかという問題が提起されたりと実にMurakamisqueな一日。だからというわけでもないけれど、ともあれ『ダンス・ダンス・ダンス』読了(再読)、…

トルーマン・カポーティ『草の竪琴』

カポーティの日本語になってる中で唯一読んでなかったもの。こんなんでアメリカ文学研究やってるって名乗っていいんでしょうか。居場所のない男の子と老婆の交流というモチーフはトルーマン自身の実体験から。「どこにも居場所がない人が虚構の世界に篭り、…

20060416

久しぶりの休日。朝からグールトのピアノ聴きながら大掃除、午後から友達と吉祥寺散歩。エスプレッソ、チーズケーキ、ホットワイン、平和な井の頭公園のカップル観察、巨大なセントバーナード。立ち飲みのバールで隣のおじさんに絡まれる。セクハラという次…

村上春樹『TVピープル』

眠りなんか必要ない、と私は思った。もし仮に発狂するとしても、眠れないことで私がその生命的「存在基盤」を失うとしても、それでいい、と私は思った。構わない。私はとにかく傾向的に消費なんかされたくない。そしてその傾向的消費を治癒するために眠りが…

村上春樹『中国行きのスロウボート』

先日、寮に住む友人の引越しを手伝っている際に寮のごみ収集所で見つけたもの(他にも10冊ほど拾った)。以前にも書いたように村上春樹は高校まで読んでいなかったこともあり、ときどき有名なのが抜け落ちていたりする。けれど未だ読んでない村上の小説が…

20060414

二ヶ月ぶりくらいに電車に乗らなかった。先輩の発表(ラングストン・ヒューズ)が刺激的。帰宅後、久しぶりに料理を頑張ろうとレンズマメの煮物とビビンバを作るが、一時間くらいかけて作って七分で食べ終わる。誰か誘えばよかったと後悔。_Erotic Innocence…

ジャック・デリダ『言葉にのって』

フランスのラジオ番組「肉声で」の一環として行われたデリダの対談を基本的にそのまま文字に起こしたもの。っていうかそもそもこんなラジオ番組があること自体驚き。歓待、現象学、政治における虚言、マルクス主義、正義と赦しという(後期)デリダの主要テ…

越智博美『カポーティ』

最後の文学セレブ(?)、トルーマン・カポーティがいかにゲイでマザコンでナルシストであったかについての本(というのは半分くらい嘘です)。トルーマンの伝記的事実を追いつつ、書かれた本の(彼のホモセクシュアリティにやや重点を置きつつの)紹介、と…

20060413

桜も散り、僕の住む町も少しずつ暖かくなる。ウィルキンソンのジンジャーエールを買いだめる日々が始まる。このジンジャーエールはカナダドライ辺りの普通の甘いジンジャーエールとは全然違い、生姜そのもの!という味がして、あるソーセージ屋で初めてこれ…

Ernest Hemingway, _In Our Times_ and _Men Without Women_

食事の描写の美味しそうな小説が読みたかったのでErnest Hemingway, _In Our Times_と_Men Without Women_を読む。久しぶりに読むとヘミングウェイは何となく可愛い気がする。引用は日本語版(高見浩訳)より。 松の切株を斧で割って何本か薪をこしらえると…

20060410

プルリングというものがあった。 今の缶飲料は複雑なプルタブになっていて、引き起こしたあともう一度元に戻すことでゴミを出すことなく飲み口が作れるのだけれど、少し前まで缶飲料の飲み口はただ古墳みたいな形の切込みを入れられているだけで、リングを引…

20060403

今日は友人と研究会。それぞれ自分の専門に関わる本(で自分以外の誰かが喜びそうなもの)についてレジュメを切ってきて発表しあいました。以下簡単に紹介。 ・Susan Faludi, _Backlash: The Undeclared War Against American Women_ 社会学をやってる友人の…

James R.Kincaid, _Erotic Innocence: The Culture of Child Molesting_

我々の身の回りには、小児性愛にまつわる言説が満ち溢れている。児童性虐待批判などに限らず、映画「ホーム・アローン」におけるカルキン少年の愛らしい姿でさえ、その例外ではない。だが、我々はそうした言説にあまりに浸っているがゆえにその物語が「正し…

伊吹英子『CSR経営戦略―「社会的責任」で競争力を高める』

溜まっていた本が突然にどれも読み終わり始めました。一冊目は生涯初(多分)のビジネス書、最近気になっているCSR(企業の社会的責任)について。 流行りモノなので、類書は山のようにあったのですが、 ・企業戦略にCSRを組み込み、同時にCSRを戦…